Vol.7『短篇集:デッドエンド・オブ・ザ・プライムワールド』観劇レポート

(文章:長山、写真:若月ひかる)


どうも2度目ましてまたははじめまして。演劇好きアラフォー女・長山(ながやま)です。名前は未だ考え中ですすみません。
※長山なのでよろしければ今回もお気軽にちょー(長)さん(山)とお呼びください。あ、お呼びでない??激寒

さてさて。こんな私にまさか再び(前回はこれ)ご依頼いただけるとは⋯。
本当に良いのかなー?大丈夫デスカネー??と思いつつ、今回も思うがままに書かせていただければと。
今回の観劇レポートはこちらです♪

アトリエ三軒茶屋企画Vol.7『短篇集:デッドエンド・オブ・ザ・プライムワールド』
2026年8月2日(日)17:00開演回
@アトリエ三軒茶屋

※通りすがりの演劇好きによる個人の感想です。予めご了承くださいませ。

Vol.7 短篇集:デッドエンド・オブ・ザ・プライムワールドは、
第一話「犬は食わない」
第二話「超能力とチョコミント」
第三話「デッドエンドの夜」
上記3編からなるオムニバス短編集です。
デッドエンドに追い込まれた人たちの2人芝居✕3本立て。
なるほどなるほど。

《作演出》
池田智哉(feblabo/24/7lavo)

池田さんの事は存じ上げておりましたが、池田さんの作演出舞台を観るのは実はこれがはじめてです。

ちょうど良い具合に埋まっている客席。この回のお客様は真剣にがっつり観劇される方が多い印象でした。

客席の埋まり具合と同じくらいちょうど良い池田さんの前説からスタート。
固すぎず緩すぎず、しかし要点はしっかりと抑えられていて実に分かりやすい前説。特に発声が素敵。小屋に合ってた。大きすぎないのにしっかりと聞こえる。聞き手を緊張させない。だから内容が頭にすっと入ってくるんだなー。
て、まだ開演前なのに語りすぎましたごめんなさい。ちょうど良い感じのリラックス状態でいざ、開演ですっ!!

第一話「犬は食わない」
義兄からの電話。姉がいなくなったと言う。
おや、誰か来たようだー きっと、犬は姉弟喧嘩も、食わないと思う。
《出演》
和真:河西凜(南京豆NAMENAME)
涼子:七凪澪生

姉がいなくなったとの義兄からのブチギレ電話に辟易する和真。そこへ突然やってくる姉・涼子。
義兄からのモラハラに耐えられず婚家を飛び出してきたと言う涼子に和真は……。
全三話の中で一番演出の拘りを感じられた作品でした(※個人の感想です)
この姉弟、悩むと文字通り頭を抱える癖がある様子。和真役の河西さんも涼子役の七凪さんも、種類は違えど2人とも目力が強いので困り顔がとても似合う。おまけに声が大きい上にセリフにトゲがありまくるので、居心地の悪いギスギス感が舞台上に長々と漂っておりました(※褒めてます)

河西さん(弟・和真)は刺す様な目力とセリフの強さで、ユータさん?という大事な人が来るから姉に帰れと言う。
七凪さん(姉・涼子)は訴えかける様な目力とセリフの強さで、帰りたくない!外に出るとか旦那と話すとか絶対無理!と駄々を捏ねる上に論点をずらして弟の事をネチネチと責め立てる。これはDVを受けて心が疲弊した人の防御反応だと察せられるのですが⋯⋯「確かにモラハラされそうダナ」って鬼みたいな感想をうっかり抱いてしまいました(ごめんなさい)
で、弟も弟で売り言葉に買い言葉でねーちゃんのせいだろ!?とついつい姉をブッ刺す様な事を言い過ぎてしまい、姉弟喧嘩はヒートアップ。そこへやってくる謎のチャイム連打。てっきり件の義兄が来たのかと思いきや……これ以上はこの作品がいつか再演される可能性を考慮して書きませんが、ギスギスしつつもちゃんと姉弟愛も感じられ、最終的にはじんわりと素敵なお話だなと思えました♪

セリフ通りに不幸の塊みたいなDV被害者の姉と、イキり野郎に成りきれないヘタレな弟で作っても良かったのに⋯⋯役者さん達のトガリ具合に演出を寄せたのでしょうか?そこが特にお気に入りでした(※個人の妄想です) あと、弟の待ち人であるユータさん?のイントネーションに弟が拘りを持ちすぎている所、とても面白かったです笑


第二話「超能力とチョコミント」
限界金欠大学生・あやめ✕ホワイトお掃除屋さん・きらこ。
全部、暑すぎる夏が悪い。
《出演》
あやめ役:角田さくら
きらこ役:結井ひより

あやめときらこが向かい合ってる所からスタートなのですが……あやめ役の角田さん、美人すぎて瞳がでかすぎてそんなに眼をひん剥いたら眼球落っこちない?大丈夫??という無駄な心配をしてしまいました(※超褒めてますすみません)
対するきらこ役の結井さんはとにかく声が可愛い。顔ももちろん可愛いし、というか役も相まってアニメからそのまま飛び出してきちゃったのかな?て感じでキュンキュンしてしまいました(※超褒めてますすみません)
あ、アニメから飛び出してきちゃったと言うならばオープニングは2人ともそうでした笑

そんなお2人の……この作品はネタバレをあまりしないで書くのが本当に難しいなあ!!!爆
あ、関係ないのですが私はこの作品を観て『忍者と殺し屋のふたりぐらし』という漫画を思い出しました。こっちは忍者とか全然出てこないけど。
そんな訳で第一話と打って変わって第二話はアニメチックなお話なのかな?と思いきや、本筋は女子2人の将来に対するリアルな悩みや存在証明のお話で、2人とも設定がアニメチックなだけの普通な女の子でした。ええ2人とも。あえて言います。2人とも普通な女の子でした。

アニメチックな設定のお話を舞台でやると、違和感が出るか2.5次元舞台みたいになるかになりそうなものですが、角田さんも結井さんも絶妙なバランス感覚で立ち回っていて、その辺本当に上手かったです。どちらも良い意味で疑問も矛盾も感じさせない。まさにプロのお仕事だなと。楽しいひと時をありがとうございました!!
追伸:アドリブかな?とは思いましたがチョコミントは歯磨き粉ではありません。ありませんよ!?

第三話「デッドエンドの夜」
共通の友人・理沙子が亡くなった。
通夜の帰りのオタク2人、眠る間際の追悼劇。
《出演》
由美:しほん
千晴:未希じゅりな

急な事故で亡くなったアイドルオタク仲間・理沙子の通夜から数時間後。由美の部屋で千晴と由美は理沙子との思い出話に花を咲かせる⋯⋯まあ、友達って、色々と思う所があるものだよねーってなりました笑
若さ溢れる第一話第二話と違い、良い意味で大人の雰囲気が漂う第三話。クールダウン。いや、チルアウト。

大人の雰囲気と言いつつ、女子2人がガールズトークをしているのは第二話と同じなのですが、存在証明のお話なのもやはり同じなのですが、不思議なもので、登場人物の年齢が上がると作品の雰囲気や感じ取れるものもガラリと変わります。当たり前ですが。
由美役のしほんさん、声も姿も大人の色気ムンムンです(ごめんなさい)
千晴役の未希じゅりなさん、この座組では珍しい低音ヴォイス。しほんさんとは別ベクトルで大人の色気ムンムンです(ごめんなさい)
しかし大人大人書きましたが、ここでも語られるのは紛うことなきガールズトーク。まあ、ガールズトークは何歳同士でもガールズトークですからね!ただし!!第二話のふたりとは違い、第三話は少し大人のガールズトーク。特に間のとり方が大人のそれ。無理なく落ち着いていて、聞いていてとても居心地良かったです。語られる内容も第二話では将来に対する悩みや存在証明についてでしたが、第三話では⋯⋯まあ、仲良し全肯定だけが友達ではないですよね笑
自らの死を友に悲しんで欲しかったのかどうかすら確認できない。デッドエンドとは、まさにそういう事。

デッドエンド。

すみません。正直に書きますと私は今までデッドエンドの意味を「死の終わり」的なやつだと勘違いしておりました。調べてみたら「これ以上進めない道路や、袋小路のこと。物事の計画や話し合いが先へ進まなくなる状態。」と出てきてひとりで勝手に恥ずかしくなりました恥

ですが今回は、どの作品も死と隣り合わせなデッドエンドばかりだったので、強ち間違いでもなかったのかなと。

今日も何処かで誰かがいなくなる。生きているのか死んでいるのか、それは特別な事の様で長い目で見れば極々当たり前な事。ただの日常。
こんな虚無まみれな世界で今日も当たり前に生きている自分。1秒後には当たり前にいなくなっているかもしれない自分。
いや、誰かにとっての自分はとっくの昔にいなくなっていて、誰かにとっての私は私ではない私に似た私擬きの私として永久に生き続けるのかもしれない。
私って何だろう。きっとどうでも良いのだろう。
どうでも良い私だからこそ、どうとでも生きていけるのだろう。

観終わった後、そんなセンチメンタルな気分になりました。
あとアイスが食べたくなりました♪

今回も素敵な公演をありがとうございました。
次も素敵な公演と出逢えますように⋯!!

(了)

脚本・演出家
池田智哉(いけだともや)
個人ユニットfeblabo代表 / 劇団24/7lavo主宰 / 元シアター・ミラクル支配人

大学入学を機に演劇をはじめ、2007年よりプロデュースユニット「feblabo」の名前で、プロデューサー兼演出家として活動。 小劇場アイドルユニットのプロデュースや、宮城県石巻市で行われた「いしのまき演劇祭」に3年連続で参加するなど、多岐にわたる活動を行う。

2013年〜2023年には新宿歌舞伎町にあった小劇場シアター・ミラクル支配人を務めた。

演出・プロデュースを務めたfeblaboプロデュース 「十二人の怒れる男 – Twelve Angry Men -」が 「こりっち舞台芸術!アワード2020」において 5276作品中3位にランクイン。

主宰・演出を務める24/7lavo第2回公演 「ドント・コールミー・バッドマン」が 2021年「こりっち舞台芸術!アワード2021」において 5553作品中5位にランクイン。


台本販売中
デッドエンド・オブ・ザ・プライムワールド
脚本:池田智哉(24/7lavo・feblabo)

1冊(全3話収録) 1,000円(税込)

収録作品

  • 犬は食わない
  • 超能力とチョコミント
  • デッドエンドの夜

※アトリエ三軒茶屋企画Vol.7『短篇集:デッドエンド・オブ・ザ・プライムワールド』 (2026年7月31日~8月2日)で上演した3作品を収録しています。

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