(文章:長山椿奇、写真:若月ひかる)
どうも3度目ましてまたははじめまして。演劇好きアラフォー女・長山こと長山椿奇(ながやまつばき)です。
はじめましてではない皆様、聞いてください。ついに名前が決まりました( 前回 まではただの長山でした)
あと 劇団milquetoast+ (げきだんみるくとーすとぷらす)の劇団員にもなれました。
しかしよろしければこれからもお気軽に「ちょー(長)さん(山)」とお呼びくださいませ←しつこい
さてさて。
本題と全く関係のない話からのスタート、今回も大変失礼致しました。
まさかこんな不躾な私に三度ご依頼いただけるとは⋯。
大丈夫ですか?ここまで読んで後悔していないですかアトリエ三軒茶屋さん??と、セルフで不安になりつつも私個人の赤裸々な感想を書かせていただければと。
今回の観劇レポートはこちらです♪
アトリエ三軒茶屋Vol.8 「とり残されて」
2026年9月13日(日)17:00開演回
@アトリエ三軒茶屋
■あらすじ
イラストレーターの由香子(ゆかこ)と、小説家になる夢を諦めた会社員の秀一(しゅういち)は、東京で暮らす夫婦。
二人は数年前、由香子の友人で、秀一の部下である哲朗(てつお)の結婚式で出逢った。穏やかに続いてきた三人の交流はしかし、哲朗の離婚話をきっかけに揺らぎ始める。
ある日実家を訪問した秀一は、姉の咲(さき)から現実に向き合うことを求められる。
同じ頃、東京に残った由香子の元を、哲朗が一人訪れて⋯⋯。
曖昧な三角関係が齎す緊張と波紋を描く、新作四人芝居。
《脚本・演出》
上野友之(劇団競泳水着/さよなら人生)
由香子役 滝本美成
秀一役 佐藤修作
哲朗役 小口隼也(有限会社Breath)
咲役 大里冬子(茶谷堂)
アトリエ三軒茶屋さんで観劇レポートを書くのはこれで3度目ですが、
実は短編集ではないアトリエ三軒茶屋さんの公演を観るのは今回がはじめてです。
そして、上野友之(劇団競泳水着/さよなら人生)さんの作品を観るのも、出演されている役者の皆様を拝見するのもこれがはじめて。
いやー、ドキドキワクワクですねえ♪
※通りすがりの演劇好きによる個人の感想です。予めご了承くださいませ。
会場に入ってまず驚いたのが、開場中の客席がとても静かということでした。
客入れ音楽もほぼ聞こえず、誰も彼も喋ろうとしない。皆が皆1人で観に来たお客様だったのかもしれない。いや、もしかしたら開場中から作品つくりを開始するタイプの演出さんなのかもしれない。
「開場中のお客様の様子でその回の本番がどうなるかが分かる」とはよく言いますが、あえてこの空気をつくり出しているのであれば流石だなあと。
開演直前、眼鏡の男性が出てきて前説スタート。
あ、この方が脚本・演出の上野さんかな?と思いましたが自己紹介が無かったからもしかしたら普通に当日運営の方かもしれないなー。しかしこの方誰とも目を合わせようとしなくて明らかに緊張していそうなのに全く噛まなくて面白いなー。この人が上野さんだったら良いなーとか考えながら前説を聞いていたら結局正体不明のまま前説終了。これはこれでなんか良かったです笑
やがてまあまあ定番のウエディング曲が流れ始め⋯⋯いざ、開演ですっ!!
まずはいかにもサブカル女子な姿の滝本美成さんと、いかにも油のりかけサラリーマンな姿の佐藤修作さんふたりのシーンから。
滝本美成さんはイラストレーターの由香子役。佐藤修作さんは元小説家志望の秀一役。秀一の書いた小説が読みたいと言う由香子と、プロの方にお見せするようなものではないのでとやんわりお断りする秀一。
ここは由香子の個展?なのかな??
「個展を見に来た秀一に由香子がお礼を伝えるシーン」という説明が殆どないのに、セリフとふたりの演技だけで情景がすんなり頭の中に入ってくる。凄い。
しかしこのふたり、まず気になったのが声量のアンバランスさ。
無理のない自然体な声量の由香子と、小屋のサイズから少しはみ出た大きめな声量の秀一。それでも秀一が由香子の声量に己を合わせようとしているのがとてもよく伝わってくる。
健気だなあ。だけどこのふたり、もし結婚しても上手くいかないだろうなー。と、まずこの時点で嫌な予感。
ふたりの話は共通の友人・哲朗の話へ。ふたりの出会いは哲朗の結婚式。哲朗の上司・秀一と、哲朗の美大時代の友人・由香子。なるほど。友人の結婚式で出逢ったふたり。よくある話だなーいい雰囲気だなーあれ?雑談して居酒屋にも行って、もうお開き??この後何もないの???と思いきや、
由香子「(秀一の肩にシャブを打つマイム)ブスッ」
秀一「え?」
私「(心の中で)え?」
由香子「自白剤です。変な意味、ゼロなんですか?」
えーーーーー何この子こわーーーっ!!!笑
もちろん自白剤なんて物騒なもの、実際には打っていないのですが、いやマイム演技だからガチで自白剤を打っている可能性が微レ存(んなわけあるか)
まあ、そんなこんなで由香子と秀一は結婚。そして数年が経ち、シーン変わって急に現れるいかにもモテそうな青年姿の小口隼也さん。あ、この人が噂の哲朗か。不器用そうな秀一と違って人生ド器用そうな哲朗。どうやら哲朗の昇進祝いをふたりの家で。
いやはやしかし見れば見るほどなんてスマートでちょうどいい感じ(何が?)な男なんだ哲朗くん。声量も由香子と秀一の間くらいでどちらとも相性が良い。ちょうどいい感じの爽やかイケメンな上に、既婚者なのに同じく既婚者の由香子とちょーっと近しい距離感で、なんかもう、嫌な予感しかしない笑
哲朗の帰宅後、嫌な予感通りスンッと静かな雰囲気になる由香子と秀一。
もう寝る?と聞く秀一に、もう少し仕事を進めると言う由香子。コロナ前はファミレス行けたのになあ。今はどこも閉まっちゃうから。東京のメリット全滅。⋯⋯少しでも、来れば良いのにね。夫の昇進祝なんだから。
おやおや由香子さん。哲朗がいなくなった途端、急に愚痴ばかりですねー。
そんな働きすぎ?な由香子の身体を心配しつつも、八方美人全開な当たり障りのない受け答えをする秀一。悪口ばっかでごめんと謝る由香子。どっちも悪い人ではないんだけどねー。由香子は秀一の方をちゃんと見ていないし(少なくとも哲朗よりは見てない)秀一は由香子にお伺いを立てすぎている。
あからさまな倦怠期感に鬱になる観客の私。
シーン変わって秀一と哲朗の会話。どうやら哲朗夫婦が離婚ほぼ確定とのこと。親以外にこの話をするのは秀一がはじめてだと。秀一から由香子にも伝えておいてくれと。
まあ、ね。うん。分かってた。分かってたけどヒリヒリしますねー。しかし本当に哲朗は立ち回りがうまいな。自分から由香子に報告したら変な意味が爆誕すると分かっているからあえて秀一から伝えてもらうと。ずる賢い。ずる賢いぞ哲朗。
で、秀一を経由された事で案の定ちょっとピリつく由香子。仕事のスランプも重なっているらしい。
しかし由香子さん。ずーっと仕事してますねー。フリーランスなのにずーっと仕事をしていて不安になる秀一の気持ちも分かるわー。
次のシーンでは秀一の父親が大きな手術を受けることとなり、
秀一や秀一の姉家族もお見舞いに行くことになったのですが、それに対して「よろしくお伝えしといてね」と由香子。
ここではじめてあからさまに「え?」となる秀一。ここ、特に凄かった。
由香子「よろしくお伝えしといてね」
間。
秀一「うん」
由香子「ん?」
秀一「あいや」
由香子「え、何?」
秀一「ううん」
由香子「あ⋯⋯私、も行った方が良かった?」
秀一の心にヒビが入ったのが瞬時に伝わってきた。どれだけ由香子と哲朗がイチャついていても(え?)動じなかった秀一の心が「よろしくお伝えしといてね」のひと言で⋯!!
なるほど。結局秀一も由香子とちゃんと向き合っていないのだなとここではっきり理解しました。
手術の日はイラスト教室の見学も兼ねての打ち合わせがあるから、いつもみたいにリモートじゃ無理だからそっちには行けない。あれ?そんなに大変な手術だったの?親族も集まるって、
そういう事なら⋯。
結局、何かあったら連絡して。打ち合わせが終わってから向かうから。と。
いやー、すみません。
本当だったら「由香子さん、夫への思いやりが足りないなあ」となるところだと分かっています。分かっていますですますいるがあああああああごめんなさい!!!この辺で既に私は秀一に対してちょっとイライラしてました!!!!!爆
なんだろう?ただの八方美人じゃない。あまりにも相手に己を委ねすぎている。もうアラフォーなのにアラサーの嫁に己の気持ちすら委ねすぎている。あ、そういや元小説家志望でちゃんとサラリーマンになったのはアラサーになってからという話だったな。あー、ね(納得)
で、シーン変わって病院のロビー。ここでようやく登場する大里冬子さん。秀一の姉・咲役。
第一声を発した瞬間に伝わってくる「しっかり者すぎて弟を甘やかすタイプの強い姉」感笑
大里さんの表情管理がキッチリしているので、ますますしっかり者に見えます。
てかお姉さんの衣装、由香子の衣装と似てるなあ。どちらも透け感のあるロング丈ワイシャツ姿。色等は違えどこれは⋯⋯「秀一が女性を型に嵌めて見ている事の表れですby演出」とかだったら嫌だなあ(※個人の妄想です)
ひとりで来た秀一と違い、姉一家は新幹線の距離を息子にサッカークラブを休ませまでして一家で来たと。ホテルも予約したと。
咲「こっちは新幹線プラスホテルだよ?」
秀一「だから、家に泊まって良いって言ったでしょ」
咲「あんた一人って分かってたらね」
秀一「え?」
一方その頃⋯⋯。
由香子は⋯⋯。
ああ⋯⋯。
体調の悪そうな由香子と、
栄養ドリンクやらゼリーやらを携えた哲朗。
夫の留守中にナニしとんねん!?と思いきや別に不倫とかではなく、体調を崩した由香子のお見舞いにきただけとのこと。本当かなあ??
しかしこの哲朗。レッドブルをグビグビ飲んでヨーグルトをガツガツ食べて⋯⋯これ毎ステージやってるとしたら哲朗役の小口さんはかなり強固な内臓をお持ちだなと勝手に心配になりました(^q^)笑
てかお見舞いの品食うなし!!!
失礼。脱線しました。
しかしこのふたり、話すのは秀一の親族の話ばかり(この辺特に脚本上手いなあと思いました)
姉の咲は三重に住んでいて、父親は大きな工務店の社長で(だから秀一は甘えん坊なのね←)その会社の秘書的な人に父親の愛人疑惑があって、母親は既に亡くなっていて、秀一も20代の頃は小説を書くとか言って色々あったらしく⋯⋯。
ここで由香子が哲朗に、哲朗夫婦の破局理由を尋ねる。どうやら原因は嫁の浮気とのこと。
哲朗「女は、気持ち離れたらもう無理なんだろうなって」
由香子「主語デカすぎ。女って言うか、自分の妻じゃん」
はーーーーーっ。ここのやり取り秀逸すぎる。
由香子の「私はあの女とは違う!!ドヤッ」感最高(※褒めてます)
そう思ってんのお前だけやで?のツッコミ待ちセリフ最高(※すみません褒めてます)
由香子「式、行くか迷ったなあ」
哲朗「なんでだよ」
由香子「あんたがあの人の隣でへらへらしてるの見たくなかった」
哲朗「でも結果良かったでしょ。来間さん(秀一)も来たんだから」
由香子「⋯⋯良かったと思う?」
哲朗「⋯⋯いい人だよ、来間さんは」
はーーーーーっ。人様の家でナニをやっとんねん(憤怒)
その後、哲朗が由香子のおでこにタッチしてドッキドキな距離感になったところで、由香子のスマホに秀一から電話が。電話中に哲朗がわざとレッドブルのプルタブを開け、秀一「⋯⋯誰か来てるの?」由香子「うん、友達⋯⋯」みたいな王道パターンを繰り広げるも悲しいかなめちゃくちゃ伝わってくる哲朗の「気を持たせてるだけ」感泣笑
由香子「ここが結婚しとけば良かった説ある?」
哲朗「寧ろなんでそうしてないんだっけ?」
由香子「あんたが馬鹿女と結婚したから」
哲朗「元嫁に馬鹿はやめて」
由香子「あの尻軽?」
哲朗「悪化してるね。君もずっと彼氏いたでしょ」
あ、うん。はい。よく分かりました。
てかずっと思ってたけどこの人達本当にベッタベタやなー。ベッタベタというか王道というか。
それをしっかりモノにしている役者陣も、王道中の王道なのに観客の心をサボらせず常に動かし続ける脚本・演出も凄い。特にセリフの技術力が凄い。切実に、文章でなく生で観て欲しい作品です。なので、いつか、ぜひ、再演を⋯⋯!!!
はい。また脱線しましたごめんなさい。
そんなこんなで由香子のおでこに冷えピタを貼り、部屋を後にする哲朗。
次に逢う時はここ(由香子と秀一の家)以外で。と。はーっ。つくづくこいつ、はーーーーーっ(白目)
一方その頃、咲は秀一に「工務店、継ぐ気はあるの?」と。
小説家を目指してフラフラしていたあの頃はとてもじゃないけど任せられなかった。でも、就職して10年頑張ってきた今のあんたになら⋯⋯と。
咲「この機会に考えてみたら?身の回りのこと」
秀一「どういう意味?」
咲「もしもこっちに戻るなら、由香子さんはどうするの?」
秀一「⋯⋯そんなの、聴いてみないと」
咲は言う。
「秀一、今も一人に見えるよ」
「あんただって、自分の人生を生きて良いんだよ」
分かる。分かるよ。頑張って就職して結婚したのに寂しそうにしている弟を心配する姉の気持ち。この短い間に痛いほど伝わってきたよあんたのブラコン&家族LOVE。
昔の仕送り貰い放題な甘えんボンボンな秀一だったらこれでイチコロだったかもしれない。
しかし、由香子と結婚した秀一はひと味違うんだなーーーこれがっ!!!
秀一「⋯⋯寧ろ、由香子にとって、いい話かも。東京は狭いって言ってるし、広い部屋欲しがってるし」
秀一は思い出していた。哲朗の昇進祝いの時、藤沢に家を買った秀一達の同僚の話を聴き「私も脱出したいなあ」「東京は狭すぎるんだよ、色々」「私はどこでも仕事できるし」と言っていた由香子の姿を。
きっと、これで全てがうまくいくとでも思ったのでしょう。由香子が夜中までずっと仕事をしていることとか、電話越しに聞こえてきたあの意味深な物音とか、なんかそういうモロモロのモヤモヤがきっと一気に晴れるぞーっ!!とか。まあ流石にそこまでは脳みそお花畑じゃないか★
まあ、
観客は全員こう思ったことでしょう。
「あ、修羅場がはじまる」
と。
⋯⋯⋯⋯⋯はい。
ごめんなさい。
実はここまででまだ全体の55%くらいなのですが、ここからの修羅場がこの作品で一番ハートがウォーミングしまくる(しんどい意味で)超絶山場なのですが、
だからこそ、ここはあえて省略させてください。ごめんなさい。
これ以上はレポートが長くなりすぎるというのもありますが、物語を最後まで文章にする事で「ふーんそういう話だったんだー(満足)」となることを阻止したいなと。再び言いますがぜひいつか再演して欲しいなと。
それだけこの作品は実際の面白さを文章で伝えるのが難しいと思いながら今これを書いております。あまりにも王道すぎて。なのに王道である事に誰一人甘えてなくて。プロフェッショナルがすぎました。これでチケット代3500円は激安だなと改めて。
ただ、これだけは書かせてください。
最後はちゃんとハッピーエンドでした。
⋯⋯⋯⋯本当だよ?(≧▽≦)笑
まさか由香子のシャブ(違う)が⋯
まさか秀一があんな目に⋯
まさか哲朗が秀一に⋯
まさか咲一家が一家揃って⋯
ひ、ひえーっ(白目)
タイトルの「とり残されて」
最後まで観たらじんわりと染みてきました。良い意味で。
チラシに書いてあった「⋯ずっとこうして欲しかったかも」というキャッチコピーも、観終わった後に読んだらただただじーん。
ベッタベタで王道な感想ですが、
結婚は、一枚岩では無いんだなと思いました。
あと、秀一の甘えんボンボンにイライラしつつもよしよししなくなりました(※超褒めてます)
てか何度も書きますが役者さん全員プロの仕事すぎてありのままの由香子、秀一、哲朗、咲にしか観えなかった。役者さん達の普段の姿が良い意味で見えなかったです。分かったのは小口さんの消化器官が強そうだと言うことくらいでしょうか(毎ステージ必ずレッドブルとヨーグルトを摂取し続けたのであれば)
劇団競泳水着⋯上野友之さん⋯⋯恐るべし!!
たった60分のお芝居なのに、90分くらいのお芝居を観た満足感。ほっくほくしながら会場を出ました。
今回も素敵な公演をありがとうございました。
次も素敵な公演と出逢えますように⋯!!
(了)
